上海中医薬大学短期留学のまとめ

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上海中医薬大学国際交流センター 勉強会

上海中医薬大学短期留学の様子を1日目~7日目までお伝えして参りましたが、今回は総合的なまとめ記事となります。開業歴10年以上の中堅鍼灸あん摩マッサージ指圧師からみた中国への短期留学は、果たしてどの様なものだったのでしょうか?

今回の目的

今回の短期留学の目的は、大きく分けて下記の3つが挙げられます。

  1. 中国の総合病院で行われている伝統医療(鍼灸、推拿、漢方等)の現場を知る。
  2. 現地で臨床を行っている医師から実技指導を受ける。
  3. 東洋医学(中医学)の復習

下記でそれぞれ詳しく解説します。

中国の総合病院で行われている伝統医療の現場を知る

私は元々、鴻巣市内の整形外科で働いていたので、日本国内における鍼灸等の伝統医療の扱いは大体把握しています。しかしながら、諸外国における伝統医療の扱いは書籍やネット上で調べた知識はあるものの、直接目にした事がないので実態は不明でした。特に、鍼灸誕生の地と言われている中国で、21世紀の今、伝統医療が病院の中でどの様な扱いを受けているのかが気になっていました。

日本国内の病院では鍼灸を始めとした伝統医療の扱いは宜しいとは言えず、西洋医学に比べると明らかにウェイトが低くなっています。ある程度地位の高いドクターでも、「伝統医療は気休めだ。」、「野蛮だ。」等々、誤解している方が未だに結構いらっしゃいます。

幸いにも伝統医療の研究が進むに連れ、この様な誤解も少しずつ解けつつあり、日本の大学病院でも伝統医療を取り入れ始めていますが、まだまだハードルは高く、普及したとはお世辞にも言えません。

中国の総合病院はどうかといいますと、上海3日目5日目の記事をご覧頂ければお分かりになると思われますが、上手い具合に伝統医療と近代医療が融合されていて患者さんにとっても、我々医療従事者にとっても理想的な状況だと言えます。当然のことながら、中国全土のの総合病院がこの様な状態ではありませんが、それでも日本の総合病院よりかは明らかに伝統医療を大切にしています。

訪中する前にある程度の情報は仕入れていましたが、実際に自分の目と足で確かめる事により、一層関心が深まりました。

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上海中医薬大学短期留学 3日目
中医学を学びつつ臨床の現場を見たいと言う私の野望を叶えるため、中国有数の名門校である「上海中医薬大学」へ、1週間の短期留学に行ってまいりました。一人海外旅行(研修)が初めてかつ、中国語理解度10%以下の状況で一体どの様な研修になったのでしょ...

目標達成率:100/100
大変素晴らしい!

現地で臨床を行っている医師から実技指導を受ける

学生や開業して間もない方であれば大して重要な項目ではないと思うのですが、私にとっては意味のある研修内容となります。

他の業界にも言えることですが、現場では全く役に立たない、教科書にしか載っていない様な死んだ技術を身に着けても意味がないのです。それに引き換え、現在進行系で患者さんを診ている臨床医から教わる生きた技術は非常に貴重なものとなります。まして、滅多にお目にかかれない外国での経験となると、その貴重さは増します。

本項目に対する短期留学の成果ですが、残念ながら私の語学力不足と時間不足により、100%の目標達成は出来ませんでした。詳細は「上海留学6日目、7日目の記事」をご覧下さい。私の語学力アップか専属の通訳にお願いすれば解決する問題なので、次の機会では改善できそうです。

目標達成率:75/100
ちょっと残念!

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上海中医薬大学短期留学 6日目、7日目
今回は、上海6日目、7日目に行われた病院実習の様子を、1つの記事にしてまとめてお伝えします。前回の記事の最後に書きましたが、6日目と7日目の実習は午前中のみで、午後は楽しい楽しいフリータイム(観光)となります。分かりやすくするために、今回の...

東洋医学(中医学)の復習

長いこと現場に出ていると、基本が疎かになってしまいがちです。
例えば私は、一般の方が想像するであろう、「東洋医学的なツボを使った鍼灸治療」は殆ど行っていません。もちろん、一人の患者さんに対して必ず数カ所は東洋医学的なツボを使用しますが、大半は「YNSA(山元式新頭鍼療法)」という、全く新しい概念から生まれた鍼灸治療をメインとしています。勿論、YNSAだけで全ての患者さんを治療できれば良いのですが、世の中、そう上手くは行きません。必ず壁にぶち当たり、試行錯誤の連続です。

今回の短期留学では、失念してしまった基礎を学び直す良い機会となりました。
復習だけなら日本でも十分出来るのではないかと思わるかも知れませんが、担当された教授が臨床医なので、ただの復習ではなく、生きた知識を同時に得ることができ、まさに一石二鳥と言えます。

更に、日本ではまず経験できないであろう、人体解剖実習も良い経験となりました。
これについては「3日目」の記事に書いてあるのですが、人体の構造を改めて復習できた事は、大変素晴らしいと思います。

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上海中医薬大学短期留学 3日目
中医学を学びつつ臨床の現場を見たいと言う私の野望を叶えるため、中国有数の名門校である「上海中医薬大学」へ、1週間の短期留学に行ってまいりました。一人海外旅行(研修)が初めてかつ、中国語理解度10%以下の状況で一体どの様な研修になったのでしょ...

目標達成率:95/100
素晴らしい!

まとめ

7泊8日と言う超短期留学ですが、当初の予定通り大半を学業に注ぎ込んだため内容の濃い、価値がある貴重な経験を積むことが出来ました。
開業して10年を過ぎた今だからこそ、理解できる内容も多くあったと思います。今回の経験を活かせるよう、今後も勉学に励みたいとつくづく実感することが出来ました。

私のわがままなリクエストに親身になって答えてくれた上海中医薬大学の関係者には、本当にお世話になりました。また、今回の短期留学をサポートして頂いた全ての方に感謝致します。

総合評価:95/100
素晴らしい!

上海中医薬大学国際交流センター
思い出が詰まった?
「上海中医薬大学国際交流センター」

番外編

さてさて、これだけでは終わらないのが当院のブログでございます! 😎 
帰国後、色々な方から質問を頂きましたので、嘘偽りなく単刀直入にお答えします!

Q:学校の行事で行ったけど、また行く価値はある?
A:是
学校行事は勉強というよりも息抜きの海外旅行です。
自分が学習したいことを見つけプランニングすれば、十分役立つはずです。

Q:中国の印象は変わった?
A:是
上海は大都会でザリガニは美味しいです。

Q:また行きたい?
A:是
今度は観光がしたいです。

Q:7泊8日って短くない?
A:是
本来であれば、1ヶ月~3ヶ月が望ましいでしょう。

Q:私も行きたい!
A:和我一起去吧!
私でお役に立てることがありましたら、ご協力致します。
ただし、私のように1人だと大変なので、5人以上居たほうが良いです。

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