連日猛威を奮っている新型コロナウイルスによる肺炎ですが、中国のSNSで「漢方薬の”双黄連”が新型肺炎に効く。」というデマが流れているようです。日本では聞き慣れない双黄連とは一体どの様な漢方薬なのでしょうか? 埼玉県鴻巣市人形治療院と漢方薬店しんあい堂の店長で漢方薬の専門家である私が簡単に解説致します。
正式名称は”双黄連口服液”です。決して肺炎に効くような特殊なものではなく、中国ではメジャーな市販薬のひとつで、単なる風邪薬として中国全土のドラッグストアで広く販売されています。実際に私も上海に短期留学していた時に何回か目にしたような気がします。
双黄連内服液の効果効能は、日本でいうところの葛根湯内服液に該当するポジションです。構成生薬は、金銀花、黄芩、連翹の3種類で漢方薬としては単純な部類に入ります。ちなみに、葛根湯は7種類の生薬から構成されています。
中医学的にみると双黄連は葛根湯や銀翹散と同様に清熱解毒作用があり、風邪の初期症状に大変有効な処方だと言えますが、飲んだからと言って直ぐに新型肺炎を予防治療できるものではございませんので、この様なデマには決して惑わされない様にしてください。一応、中国のネットストアから購入できますが、わざわざ個人輸入してまで購入する必要は全くございません。新型肺炎の対策には手洗いと消毒を徹底したほうが効果的でしょう。
新型コロナウイルスは、2020年2月4日時点で先進国では1人も死者が出ておらず、感染力も然程強いとは言えません。しかしながら、中国内での患者数が多いため中長期化して先進国でも死者が出る可能性も十分に考えられますが、現時点ではアルコールで無力化出来る弱毒性ウイルスと言っても差し支えはないと思います。
一般的な日本人が感染のリスクを下げるには、発生源の中国や衛生環境が悪い新興国への渡航を控える事です。幸いにも我々が住んでいる日本は世界屈指の衛生大国なので、日本国内に居る限り過度に神経質にならず、大人数との接触を避け手洗いと消毒を徹底していれば、いずれピークが過ぎてほとぼりも冷めるでしょう。