愛子の鍼 木村愛子(著)のレビュー

5.0
お勧め書籍

学生時代の恩師、木村愛子先生が2016年10月に「愛子の鍼 」という書籍を出版致しました。
この記事を書いているのが2019年9月なので、丸3年も前の話になってしまうのですが、今更ながら本書をレビューしたいと思います。

木村愛子先生は、私が学生の頃、鍼灸実技の担当教官として2年間お世話になりました。
私が卒業した学校の教員達は昭和の名人と言われた方々が多く所属していて、当時は日常風景だったので何も感じてはいなかったのですが、今思えば驚愕する程の顔ぶれでした。廊下を歩けば当然のように解剖学の教科書の執筆者に出会い、芹澤勝助先生や岡部素堂先生の直弟子が沢山いる様な世界だったので、本当に教育環境に恵まれていたとしみじみ思っています。余談になりますが、私が入学する直前まで、矢野忠先生も同校で教鞭をとっておりました。

今回紹介する書籍の執筆者である木村愛子先生は、芹澤勝助先生の直弟子の一人で、全盲の鍼灸師として海外でも活躍している有名な方です。論文も多数発表されており、私の知る限りで、先生が執筆された書籍は全部で4冊です。現在は教員を退職されましたが、今もなお現役の鍼灸師として精力的に働いています。

今回紹介する「愛子の鍼」の内容は、目次に疾患名が載っていて、疾患毎に有効な経穴(ツボ)がイラストや写真付きで掲載されているという、ごく単純な解説書となります
極限まで無駄を省いているため、ページ数が少なく一見するとガッカリするかも知れませんが、先生が50年以上の年月をかけて編み出した知識が惜しげもなく凝縮されているので、学生や新米鍼灸師にとっては、手っ取り早く現場で役立つ便利な参考書と言えるでしょう。ベテランの鍼灸師が読んでも、新たな発見があるかも知れません。なお、木村愛子先生の鍼灸に対する考え方や、今までの活動内容を知りたい方は、前作の「日本のいやしの鍼」の方がお勧めです。2冊とも入手が難しくなっているので、ご興味がある方は、お早めにお買い求め下さい。

疾患に対する治療穴が分かりやすく掲載されているため、鍼灸に興味がある一般の方が読んでも十分楽しめる内容だと思います。当院の待合室に置いてありますので、お気軽にお手に取ってご覧下さい。

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