2022年12月2日のニュースで、面白い記事を見かけました。冒頭部分を転載すると、「新型コロナウイルス感染者の発熱緩和や重症化の抑制に漢方薬が有効であるとの研究結果を、東北大大学院医学系研究科の高山真特命教授（総合診療）らの研究チームが発表した。」だそうです。一体何の漢方薬なのだろうと思い文章を読み進めると、葛根湯(カッコントウ)と小柴胡湯加桔梗石膏(ショウサイコトウカキキョウセッコウ)だそうです。一般的に日本では両方とも風邪薬として有名で、特に葛根湯は恐らく誰もが知っているであろう、超有名処方と言えるでしょう。
私は新型コロナウイルスが流行った時期から何度も漢方有効説を記事にしていますが、やっと日本の国立大学の研究機関が有効性を証明してくれたようです。個人的には2年早くやって欲しかったのですが、大人の世界なので中々難しい様ですね 
新型コロナウイルス感染者の発熱緩和や重症化の抑制に漢方薬が有効であるとの研究結果を、東北大大学院医学系研究科の高山真特命教授（総合診療）らの研究チームが発表した。
チームは２０２１年２月～２２年２月、東北大病院（仙台市）など国内７病院と連携し、コロナ感染者１６１人を対象に調査。漢方薬（葛根湯＝かっこんとう）小柴胡湯加桔梗石膏（しょうさいことうかききょうせっこう）を１日３回服用するグループと、症状に応じて解熱剤やせき止めを服用する通常治療のグループに分け、経過を比べた。
なぜ葛根湯がコロナに効くのか
葛根湯の効果効能を一口で説明すると、血行促進です。葛根湯のパッケージを見ると、風邪症状の他に、肩こりや腰痛といった文言が記載されていると思います。これらの効果効能は風邪薬というよりも、血行促進効果によるものです。
しかしながら、この血行促進効果が熱に弱いウイルスに対して驚くほど有効なのです。葛根湯のメカニズムを簡単に説明すると、「体温が上昇する→体が活性化して免疫力が上昇する→ウイルスが死ぬ→炎症が収まる」という流れになります。
葛根湯の欠点
一見すると万能に思えてくる葛根湯ですが、一つ欠点があります。それは、体力がない人には使えない点です。生薬の力で無理やり身体を発熱させるため、体力がない状態(小児、高齢者、虚弱等)で服用すると身体が疲弊し、病が悪化してしまう可能性があります。このため、むやみに服用するのではなく、状態を見極めてから服用することを推奨します。特に当店(漢方薬店しんあい堂)の葛根湯は濃いので、十分注意が必要です。
葛根湯以外の有効処方
漢方薬の歴史は伝染病との戦いなので、コロナの様なウイルスが関係する疾患に有効だとされている処方は山のようにあります。その中でも特に安全で個人的に推奨出来る処方は、補中益気湯(ホチュウエッキトウ)です。補中益気湯は薬の王様とも言われ、葛根湯が使用できない状態(小児、高齢者、虚弱等)にも使用できる素晴らしい処方です。気力を高める高麗人参と黄耆を多く含んでいるので、弱った胃腸を丈夫にする効果も期待できます。この結果、服用を続けると免疫力アップや、体力の早期回復にも繋がります。
他にも、抗ウイルス作用が期待できる板藍根、免疫力を高める霊芝やサルノコシカケ等のきのこ類、動物由来の生薬等、候補を出したらきりがありませんので、詳しい選び方は専門家に相談すると良いでしょう。無論、当店でも相談可能です。
まとめ
先程書いたように、漢方薬の歴史は伝染病との戦いとも言えるので、昔の書物を読み解くと色々な情報が出てきます。数百年～数千年の歴史は伊達ではありません。人間というものは新しもの好きで、最新、新型、かつてない〇〇、、、。というセンセーショナルで魅力あふれる派手な謳い文句に惹かれがちですが、先人の知恵を活かし、今一度初心に帰って冷静に判断してみては如何でしょうか？ 面白い発見があるかも知れませんよ。
余談になりますが、当店では医薬品の通販は一切行っておりません。理由は、直接患者さんを診ないと適切な処方が選べない為です。また、漢方相談は完全予約制ですので、必ず連絡上、ご来店願います。
院鳥本体は、コロナの予防や治療で使ってる漢方薬ってあるの？
あるよ。
「葛根湯」と「補中益気湯」を服用してるね。
予防としても使えるし、ちょっと風邪引いたかな？ という時に便利。
他には？
基本的に上の2つを使い分ける感じだね。
後は、食事によってはマルチビタミンとカルシウムのサプリを飲むかな？
このお陰かも知れないけど、私も患者さんも、コロナ騒動中でも極めて健康的に過ごしているよ。
なるほどね。
今回の記事で漢方薬の有効性も再認識されるだろうし、
私も服用してみようかな。
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