例年であれば不安症を伴う5月病はゴールデンウィーク明けに多いのですが、コロナウイルス感染症ブームの今年は、春がとっくに過ぎた初夏に多発しています。これは5月病と言うよりも、新型コロナウイルス不安症と命名したほうが良いかも知れません。
当院では5月病に対してはYNSAと漢方薬を併用した治療を行っているのですが、これらの手法だけではなく、東洋医学的な鍼灸治療(経絡治療)も組み合わせています。今回の記事は、不安症で私がよく使う「膻中(だんちゅう)」と言うツボについて説明します。
膻中(だんちゅう)とは
院鳥!
毎回お灸をするこのツボ何ていうの?
凄い呼吸が楽になるんだけど!
(自分の胸の辺りを指差しながら。)
あぁこれね。
膻中(だんちゅう)って言うんだよ。
即効性もあるし、左右のバストの中央で体のど真ん中にあるから場所が見つけやすいよね。
へー。
そういえば院鳥って鳥だからバストないよね。
鳥の膻中ってどこにあるの?
・・・・・。
ハツとか胸肉の辺り??
膻中穴(だんちゅうけつ)は、任脈に属す第17番目の経穴である。元児、上気海ともいう。心包経の募穴。気会である。
両乳頭を結ぶ線が、胸骨体正中線上と交わるところ、乳頭は第4肋間の高さ、乳中穴、天谿穴、神封穴、天池穴、輒筋穴、淵腋穴と同じ高さ。
正中線中央で胸のど真ん中に存在するツボです。当院の場合、不安症以外だと呼吸器系疾患や乳腺炎、乳汁分泌不全や不妊症に多用します。とても良い経穴なのですが場所が場所だけに女性には少々使いにくいので、使用する際は必ず患者さんの許可を得てから施術を行っています。お灸や鍼、押圧刺激が有効です。
膻中の効果効能
- 不安症
- 呼吸器系疾患、息苦しい等
- 乳腺炎やそれに伴う症状
- 乳汁分泌不全
- 肋膜炎
- 心筋梗塞
- ノイローゼ
- ヒステリー
- その他、上半身の火照り等
膻中穴は任脈と言う体の中央全面を走る経絡に属しているため、これ1穴で幅広い症状や疾患に対応できます。男女問わず使用できるので、一般の方でも覚えておいて損はないでしょう。精神を安定させる効果が期待できるため、子どものキーキー声やチック、夜驚症にも多少しています。
セフルケア
膻中は胸のど真ん中なので、セフルケアが行いやすいツボです。胸骨中央付近を親指でグリグリして痛い場所を探しましょう。不安症やパニック障害の発作が起きた時に指でグリグリすると、案外直ぐに症状が和らぎます。皮膚が少し赤くなる程度に押しましょう。結構痛いのでやり過ぎには注意が必要です。
最後に
如何でしたでしょうか?
近頃はコロナウイルス感染症の話題や逆子の記事ばかり書いていたので、何だか久しぶりに鍼灸師らしい経絡経穴の記事を書いたような気がします。
冒頭でも説明したように膻中穴は少々扱いにくい場所ではありますが、当院の場合だと即効性が期待できるので結構な数の患者さんに用いている代表的な経穴のひとつです。セルフケアが行いやすい経穴でもあるので、諸症状でお悩みの方は是非セルフツボ療法を行ってみて下さい。