埼玉県鴻巣市の人形町治療院では、逆子治療や婦人科疾患の治療の他にも不妊治療を取り扱っています。以前記事にした様に、人工授精の発展により東洋医学による不妊治療は第一線を退いたのですが、それでも当院での治療を希望される方が案外多く、私も少し驚いている程です。
今回は当院における不妊治療の10数年分のデータを分かりやすく解析し、患者さんが知りたいであろう治療方法や成功率を一挙公開致します。
人形町治療院の不妊治療
まず初めに当院の不妊治療の手順を紹介します。人形町治療院公式ホームページに記載があるように当院では、男女問わずお灸と漢方薬を主とした治療を行っています。中国等では鼠径部の様な際どい部分に鍼を行ったり、医療用の微弱電流を使用したりしていますが、患者さんが希望しない限り当院では行いません。
不妊症以外の症状も改善したい場合、例えば筋肉や関節の痛み、手足の痺れ、内蔵の不快感等が気になる方は、お灸の他にもマッサージや鍼治療、YNSA(山元式新頭鍼療法)を行います。使用する経穴(ツボ)は人により異なっていて、基本的には腹部や下腹部、下半身が中心となります。
※漢方薬は当院の併設薬店「しんあい堂」で販売しています。
年齢制限
当院は不妊治療の期間を最大2年としていて、大凡40歳までの出産を目標としているため年齢制限を設けています。具体的な年齢は初産の女性の場合は30代後半、男性は40代半ばです。理由はご察しの通り、加齢に伴い精子(卵子)の劣化、自然流産等のリスクが著しく上昇するためです。具体的な自然流産の確率は別途記事に載せてありますが、40歳で40%以上になります。流産は心身に与える影響が大きく、当院としては極力避けたいものです。なお、鍼灸治療と流産の関係は全くございませんのでご安心下さい。
治療頻度と治療期間
東洋医学による不妊治療は時間がかかります。稀に驚くほど早く妊娠される方もいらっしゃいますが、人工授精の様に直ぐに真偽の結果が出るものではございませんので、この点はくれぐれもご了承下さい。不妊症の他に目立った症状がない場合は、30分の基本コース(3,000円@1回)を週1回のペースで行い、主訴(体の問題点)が多い方、施術中にゆっくりリラックスしたい方は60分のじっくりコース(5,000円@1回)で治療を続けます。
当院の施術と漢方薬の服用を開始すると、大半の方が3ヶ月以内に何らかの体の変化を感じるはずです。3ヶ月間治療を行っても何も変化を感じない方は、残念ながら東洋医学による不妊治療の対象外となります。
早ければ治療開始から3ヶ月で妊娠、遅い場合は2年を要します。2年以上の治療は当院としては推奨していませんが、不妊治療としてではなく体のメンテナンスのために鍼灸や漢方薬の服用を続けている方も大勢いらっしゃいます。
不妊治療と漢方薬
人形町治療院の不妊治療は漢方薬治療と併用して行います。これは東洋医学の力を最大限引き出すためで、どちらか片方しか施さないと妊娠率が極端に低下してしまいます。また、漢方薬には「安胎薬」に区分されている処方もありますので、流産の確率を下げることも出来ます。
漢方薬の料金は使用する生薬によって異なりますが、目安として「3,000円~10,000円/1ヶ月」程度です。貴重な滋養強壮剤(牛黄、高麗人参、鹿茸など)を使用した場合は1万円を超えますので、使用の有無は患者さんに一任しています。勝手に高い生薬をドバドバ投入してべらぼうな金額を請求したりは致しませんので、ご安心下さい。
不妊治療の実績
本コーナーでは、人形町治療院における不妊治療のデータを公開致します。データの集計を開始したのは2009年で、分母は不妊症を訴える患者さんから無作為に100人を選別致しました。治療開始時の参考にお役立てください。
成功率
男性:55%
女性:65%
男性は比較的症状が進んだ状態で来院されるケースが多く、心身に様々な問題を抱えています。「まだまだ大丈夫だ。」と訴える患者さんもいらっしゃいますが、専門家から見るとボロボロの状態です。このため、男性は女性と比べると成功率が低い傾向があります。
なお、上記のデータは漢方薬治療を始める前のデータ(漢方薬店を開設したのは2015年。)も含まれているので、現在はもう少し成功率が上がっていると思われます。
男女比
3:7で女性の方が多いです。2014年位までは1:9で明らかに女性の方が多かったのですが、近年では世間が男性不妊に注目しているので、男性の患者さんが徐々に増え始めています。
治療開始年齢
男性:43歳
女性:37歳
私個人としては「遅すぎる」と思っています。精子も卵子も体力も加齢と共に消耗して劣化します。これは生物としての宿命で誰にも逆らえませんので、男女ともに35歳までには来院して頂きたいものです。
妊娠するまでの期間
平均日数は約7ヶ月なのですが、3ヶ月~2年とバラツキが多いため、本データはあまり参考にならないと思われます。確実に言えることは年齢と治療期間は比例しますので、治療開始年齢が若いければ若いほど治療期間が短くなります。
なお、上記で触れたように治療開始から3ヶ月で何も変化を感じなかったり、治療期間が2年を超えるようであれば東洋医学による不妊治療は不適合となるため、治療を終了致します。
不妊治療を始める前に
東洋医学の治療とは関係がなく自然流産や切迫早産等、妊娠出産には様々なリスクが付きまといます。無事に出産したとしても、子育ては想定外の連続です。「こんなはずじゃなかった。」を訴える方も多いです。また、それなりの時間と費用もかかります。不妊治療を始める前に、これらのリスクを十分理解した上で治療を受けて下さい。