パニック障害と鍼灸・漢方薬治療

不安症・うつ症状

新型コロナウイルス感染症が流行りだした直後は全く感じなかったのですが、緊急事態宣言が出て暫くすると、急にパニック障害や息苦しさを訴える患者さんが増え始めました。普段当院はそれほど多くのパニック障害は診てないのですが、この数ヶ月は4日に1回は相談を受ける異常事態が続いています。新型コロナウイルスの直接的な影響ではないにしろ、家に閉じこもっていたり急な環境の変化に心身が付いて来ない方が大半だと思われます。

今回は、パニック障害やそれに関連する症状について、鍼灸マッサージ院と漢方薬屋を経営している立場から東洋医学の有効性を記事にしたいと思います。なお、証や正邪などの難しい東洋医学用語は一切使いませんので、リラックスしてご覧下さい。

パニック障害の概要

パニック障害では、思いがけないときに突然、動悸や息切れ、強い不安を伴うパニック発作が生じます。
そしてパニック発作が繰り返されるうちに、発作に襲われることに対する予期不安や発作が生じる状況に対する広場恐怖を感じるようになり、毎日の生活に支障をきたすようになってしまいます。治療が不十分で病気が進行してしまうと、うつ病やうつ状態になるおそれもあります。

監修:金沢大学 名誉教授 アイリスメディカルクリニック 院長 越野 好文 先生

パニック障害に東洋医学は有効か

結論から申しますと、余程状態が酷くなければ有効だと断言できます。ここで表現する酷い状態とは、服用する薬の影響で薬物中毒に近い状態になっていたり、激化していて患者さんの体に触れられない状態を指します。無理矢理治療を行えなくはないのですが、当院ではノータッチでございます。

鍼灸治療編

まずはなんと言っても、YNSA(山元式新頭鍼療法)の出番です。YNSAについては割愛しますが、普通の鍼治療とは異なり「頭のツボ」を使うため、中枢神経系に近い部分にアプローチ出来るため、即効性が期待できます。「頭」と聞くと最初は皆さん驚かれますが、実際に受けてみると「何だこんなものか」と思われるはずです。頭にカラフルな鍼がくっついているので、その珍しい姿に写真に撮る方も結構いらっしゃいます。案外余裕ですね 😛

YNSA 山元式新頭針療法
当院はYNSA学会認定治療師が所属する鍼灸マッサージ院です。YNSA(山元式新頭鍼療法)の概要や施術効果を分かりやすく解説致します。肩こり腰痛、痛み、しびれ、耳鳴り、脳血管障害、パーキンソン病、半身不随等の改善に役立ちます。

当院ではYNSA以外にもお灸を多用します。性別や症状によって使用するツボは異なりますが、以前紹介した「膻中穴」はマストと言えるでしょう。場所的に少々扱いにくい経穴なのですが、皆さん嫌な顔をせずに快く(?)洋服をめくり上げてくれます。膻中以外ですと、手の少陰心経も欠かせません。心経とは読んで字のごとく、「心」に作用します。

当院ではほぼ全員にお灸を施します。「お灸」と聞くと茶色いモグサを丸めて皮膚に置いて熱さを我慢するという修行僧的なイメージが湧きますが、今のお灸はアロマオイルが入っていたり、火傷を起こしにくい工夫がされていたりと、現代人にあった進化を遂げています。そもそも熱かったら取りますので、我慢する必要はないです。

鍼灸(YNSA)とお灸に共通して言えることは、リラックス効果が高まる事です。厳密には、交感神経と副交感神経の両方を高めて、更に副交感神経が優位な状態に持っていくのですが、長くなるので割愛します。とにかく、体が求める本来の方向に気持ちを持っていく作用があります。大半の方は休息を求めているので、当院の施術が終わると眠くなるのはこのためです。

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膻中穴と不安症
例年であれば不安症を伴う5月病はゴールデンウィーク明けに多いのですが、コロナウイルス感染症ブームの今年は、春がとっくに過ぎた初夏に多発しています。これは5月病と言うよりも、新型コロナウイルス不安症と命名したほうが良いかも知れません。 ...

漢方薬治療編

当院の醍醐味は漢方薬店を併設している点です。このため、通常の鍼灸治療では改善が難しかった症状に対してプラスαを提供することが出来ます。パニック障害についても漢方薬を併用するとより良い結果が期待できるでしょう。

鍼灸のような手技を治療の柱とするのか、漢方薬を治療の柱とするのかは患者さんに一任していますが、併設薬店の漢方薬店しんあい堂にファーストコンタクトを取った患者さんは漢方薬治療をメインする傾向がございます。

病院でパニック障害と診断された患者さんでも、東洋医学的には人それぞれタイプが異なります。漢方薬は病名で出すのではなく、人間性を診て判断するので具体的な処方名は出しにくいのですが、剤形としては、毎日服用するタイプと頓服(辛いときだけ用)に別れます。どちらか片方の場合もございますし、両方服用している方もいらっしゃいます。

なお、当店では漢方薬の通販は行っておりません。必ず患者さんご本人に直接来店して頂き、本人から詳しい話を聞いた上で薬を出しています。

按摩、マッサージ治療編

東洋医学とは少し異なる部分もございますが、当院ではパニック障害に対して按摩やマッサージも行っています。鍼灸治療と比べると効きがソフトなので劇的な変化は起こしにくいのですが、鍼灸治療と組み合わせたり、心身が疲弊している方には最適なチョイスとなります。按摩とマッサージを同一視している方も多いですが、実は全く違うものです。

按摩(あんま)は古代中国から伝わり、平安時代以降に発展した日本式のマッサージです。患者さんは衣服を着た状態で手拭をかけて、その上から施術を行います。本来はパニック障害の様な神経(精神)疾患よりも、筋肉疲労や肩こりの様な運動器に対して有効なのですが、心地よいので好む方も多いです。結構な圧が加わりますので、筋肉量が多い男性に好まれる傾向がございます。

マッサージは明治時代に西洋から伝わた手技で、オイルを使用します。そのため服を脱いて頂く必要がございますが、当院では患者さん毎にオリジナルにブレンドしたオイルを使用しているため、頗る評判が高いです。オイルはただ単に滑を良くする滑剤の役割だけではなく、消炎鎮痛等の作用が期待できます。アロマの香りによるリラックス効果は当然として、美肌効果も期待できるのは嬉しい限りでございます。なんと言っても女性に人気です。コロナ禍でマスクを着けているため、匂いを感じにくいのが少々残念です。

減薬と離脱症状

この10年は意識の高い患者さんが増えたので、減薬について質問を多く受けます。私が病院にいた頃は、ドクターが出す薬を無条件で大量に服用していた患者さんが多かったので、当時と比べると意識改革が進んでいる様に思われます。

パニック障害の患者さんで必ずと言っていい程服用している薬は、ベンゾジアゼピン系の処方でしょう。製品名はあえて出しませんが、睡眠導入剤として長年服用している方も多く見受けられます。乱用性薬物に指定されているにも関わらず、なぜこんなにホイホイ気軽に処方するのか理解に苦しみます。

鍼灸や漢方薬が減薬、離脱症状に役立つかと言う質問ですが、答えは「YES」です。世界的な論文も多く出ていますので、これは私個人の意見ではなくエビデンスのある回答となります。しかし、どの論文も離脱症状を緩和させるという表現なので、今すぐに綺麗サッパリ止められると言う訳ではございません。東洋医学による治療と並行して担当医と相談しながら徐々に減薬する事が重要です。

離脱症状がに悩まさせる期間は、薬を服用していた期間に比例します。ただし、焦って急に服用を止めてしまうと激しい離脱症状が現れるので、先程書いたように慎重に事を進めましょう。

改善と完治

パニック障害は中枢神経系に関わる疾患のため、完治には時間がかかるケースが多いです。ですが、ガッカリしてはいけません。完治ではなく、「改善」であれば、比較的早い段階で何らかの効果を得られるケースが多く、「先週できなかったことが今日出来た!」と喜ばれる方も大勢いらっしゃいます。

完治する事に越したことはありませんが、当院の施術では「改善」に重点を置いています。何故なら、完治(完璧)を求める方よりも、症状が徐々に改善する事を実感しながら治療を続けている患者さんの方が、経験上予後が良いからです。

例えば実際によくあるパターンなのですが、パニック障害の影響で今まで外出できなかった患者さんが、

Aさん:「今日は近所のコンビニまで歩けた。怖くて買い物は出来なかったけど、勇気を出して明日も行ってみよう! 私凄い!」と思われるのと、

Bさん:「今日は近所のコンビニまで歩いた。怖くて買い物が出来なかったから、もう外に出るのは止めよう。全然良くなってないじゃん。」と考えるのでは将来的な大きな違いが現れます。

両方の患者さんは、症状が改善してある程度自立した生活を送ることが出来るようになったのですが、Bさんの場合は完璧を求めるがゆえ、今の自分を受け入れることが出来ず負のスパイラルに陥っています。こうなってしまうと改善するのはここまでで、成長が止まってしまいます。Aさんの場合は今の自分を受け入れていますので、更に症状が改善していつの日か完治するでしょう。

費用と期間

人形町治療院の施術は30分@3,000円、60分@5,000円です。これを週1~2回行います。通常、1ヶ月~2ヶ月で何らかの変化を感じますが、反応が良い方であれば数回の施術で劇的に変化するケースもございます。一定のペースで治療を続けた後、ある程度症状が落ち着いてきたら施術内容を調節します。10%以下の確率ですが、2ヶ月間治療を続けても何ら変化を感じない方は、残念ながら適応外となります。

逆に言えば、当院の場合は90%の方は何らかの変化を感じていますので、パニック障害に対して東洋医学は有効だと再確認できます。

30分治療と60分治療の違いですが、30分治療の場合は主訴がパニック障害のみで完結している患者さん向けで、60分治療はパニック障害+αを患っている方向けです。パニック障害のみの患者さんでも、ゆっくり出来る60分治療をチョイスする場合もあるので、相談あるいは好みでお選び下さい。

当院の料金は固定制ですので、出張やASP(フランス製の特殊な置鍼)セキュリティープラスの導入を希望されない限り追加料金は発生致しません。当然ですが、怪しい健康食品や器具、回数券の販売は一切行っておりません。我ながら実に分かりやすい料金設定だと思っております。

漢方薬の費用は「約5,000円@1ヶ月」とお考えください。漢方薬のコーナーで述べた通り、人によって処方が変わってくるので料金が多少前後します。高級生薬の牛黄や鹿茸等を使用した場合は1ヶ月で10,000円を超えますが、いきなり高い生薬を使用したりはしないのでご安心ください。

なお、パニック障害を患っている方は一人での来院が難しいケースがございます。その際はご家族やご友人を2人まででしたら同伴OKですので、遠慮なくお気軽にご来院下さい。また、他の患者さんと待合室で遭遇したくないと言う方は、先程紹介したセキュリティープラスをご利用下さい。

料金案内
当院は施術時間で料金が決定するため、大変わかりやすい料金設定となっております。複雑なオプションは一切存在しません。支払い方法は現金とPayPayに対応しています。

まとめ

以上、パニック障害と東洋医学による治療のご紹介でした。あくまでの当院の治療パターンなので全ての医療機関には当てはまらないとは思うのですが、もし、パニック障害でお困りでしたら、お近くの治療院や漢方薬局に相談してみては如何でしょうか?

最後になりますが、パニック障害の治療は焦ってはいけません。頼りきりではなく自分で治そうという気合も大切です。また常に100%を求めず、発作とうまく付き合い、発作に振り回されずに日常生活が送る事こそが重要だと言えるでしょう。

 

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