【振り返り】2025年、鍼灸・東洋医学界を揺るがしたビッグニュースTOP5!

治療

日々の臨床で患者さんのお身体と向き合っていると、時代とともに人々の抱える不調の性質が変わり、それに伴って鍼灸やマッサージといった伝統医療に求められる役割も大きく広がっているのを肌で感じます。当院も気づけば開業から約15年という月日が経ちましたが、昔から変わらない伝統的な技術が、最新の科学によって次々と解明され、再評価されている今の状況には本当にワクワクさせられます。

今回は、最新のテクノロジーや西洋医学との融合が加速した昨年「2025年」の鍼灸・東洋医学界における「ビッグニュース ベスト5」を、現場で治療にあたる鍼灸マッサージ師の視点から、図や写真を交えて振り返ってみたいと思います。

埼玉県鴻巣市 人形町治療院 鍼灸整体マッサージ
マッサージや整体も受けられる鍼灸院。肩こり、頭痛、腰痛、神経痛、自律神経症状、逆子、生理痛、パーキンソン病、脳卒中等。漢方薬店併設。北本市TOP深井店から徒歩3分。

第5位:AI(人工知能)と東洋医学の融合による「四診」の可視化

2025年は、東洋医学の伝統的な診断法である「四診(望・聞・問・切)」、特に舌の状態を見る「舌診」や手首の脈を診る「脈診」をサポートするAIアプリやデバイスの実用化が一気に進んだ年でした。

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スマートフォンのカメラで舌を撮影するだけで、AIが東洋医学的な「証(体質や現在の身体の状態)」の分類を瞬時にサポートしてくれます。もちろん、我々プロの目と指先が捉える繊細な感覚や、患者さんとの対話から得られる情報が治療の核であることに変わりはありません。しかし、AIの客観的なデータが加わることで、「あなたの今の体質はこうなっていますよ」と、患者さんに視覚的に分かりやすく説明できるようになりました。日々のセルフケアの指標としても非常に有用なツールになりつつあります。

第4位:フェムテック(Femtech)分野での鍼灸の再評価と定着

女性特有の健康課題をテクノロジーや新しいサービスで解決する「フェムテック」市場が急拡大する中、PMS(月経前症候群)や更年期障害に対する「非薬物療法」の柱として、鍼灸が各種メディアで大きく取り上げられました。

東洋医学では、女性の心身の不調を「気・血・水」の滞りや不足として捉えます。鍼灸やマッサージによって自律神経やホルモンバランスの乱れを整え、人間が本来持つ自己治癒力を高めるアプローチは、薬の副作用を避けたいと考える若い世代の女性からも高い支持を集めました。「痛い・熱い」という古いイメージが払拭され、美容鍼灸から一歩進んだ「根本的な体質改善」の手段としてすっかり定着した感があります。

第3位:鍼灸による「迷走神経刺激」の科学的メカニズム解明が進む

「なぜ手足や背中に鍼をすると、遠く離れた胃腸などの内臓の調子が良くなるのか?」という、東洋医学の長年の不思議に対する科学的な裏付けがさらに進んだ1年でした。

特に注目されたのが、特定のツボに鍼や微弱な電気刺激を行うことで、リラックスを司る「迷走神経(副交感神経の主成分)」が活性化し、全身の強い炎症を抑えるメカニズムです。国内外で多数の研究データが発表され、これまで東洋医学の「経験則」として語られてきた経絡やツボの効果が、最新の神経科学の言葉で見事に翻訳されました。これにより、西洋医学の医療機関との連携がより一層スムーズになり、統合医療への道が大きく開かれています。

第2位:スポーツ分野における「HRV(心拍変動)」管理と鍼灸ケアの連携

ロードバイクなどの持久系スポーツに取り組むアスリートや市民レーサーの間で、スマートウォッチ等を用いた「HRV(心拍変動)」によるコンディション管理が常識となりました。

HRVは交感神経と副交感神経のバランスを数値化し、体の疲労度を客観的に示す指標です。FTP向上のための限界ギリギリの追い込みや、長時間のLSDトレーニングなどを行うと、どうしても数値は低下します。2025年は、このHRVが低下した際の「積極的リカバリー(回復)」の手段として、鍼灸やマッサージの即効性がスポーツ界で再認識されました。ただ休むだけでなく、鍼灸で自律神経に直接アプローチして回復を早めることで、狙った日にピークを持っていく科学的なトレーニング管理が定着しつつあります。

実は私もガーミンウォッチで毎日HRVを測定しています。正直なところ、ボディーバッテリーやトレーニングステータスの項目はあてにならない様な気がしないでもないのですが、HRVだけは注視するようにしています。

第1位:YNSA(山元式新頭針療法)をはじめとする、日本発の特殊鍼法の世界的広がり

堂々の1位は、日本発祥の治療法が世界的なスタンダードとしての地位をより盤石にし、多くの患者さんを救ったことです。

特に、脳梗塞などの後遺症による麻痺、パーキンソン病などの神経疾患、そして難治性の痛みに対して、頭部の特定のポイントにアプローチして優れた即効性を発揮する「YNSA(山元式新頭鍼療法)」は、2025年も世界中の医師や鍼灸師から熱い注目を集め、海外での臨床報告や学会発表が相次ぎました。

先月、2026年1月に創始者である山元敏勝先生がご逝去されましたが、先生が一代で築き上げられたこの素晴らしい技術が、国境を越えてこれほどまでに多くの患者さんの希望の光となっていることは、草創期からこの治療法に携わり、直接ご指導いただいた経験を持つ一人の治療家として、非常に感慨深く、また心からの誇りに思います。

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【追悼】「鉄人」山元敏勝先生。休みなき情熱と、今だから言える唯一の心残り
2026年1月20日、私たちが仰ぎ見てきた巨星、山元敏勝先生が永眠されました。YNSA(山元式新頭鍼療法)の創始者として、世界中の難病患者に光を届けてこられた先生。YMSA学会メンバーとして、先生のすぐ傍でその熱量を肌で感じられたことは、私...

まとめ:古きを温ね、新しきを知る

2025年のニュースを振り返ると、最先端の科学やテクノロジーが、数千年の歴史を持つ東洋医学の「正しさ」を証明し、後押ししてくれていると強く感じます。

時代が進み、どんなにテクノロジーが進化しても、人間の手を通して伝わる「手当て」の温もりと力は決して代わりがききません。これからも、伝統的な技術にしっかりと根を下ろしつつ、新しい知見を柔軟に取り入れながら、目の前の患者さんの笑顔のために、日々の臨床を積み重ねていきたいと思います。

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