鴻巣市のホームページに、『くらしの110番 整体など…法的な資格制度のない「手技」による施術・契約トラブルに注意しましょう!』という注意喚起情報が出ています。つい最近までこの情報は掲載されていなかった様な気がするのですが、これは一体どの様なものなのでしょうか?
資格について
当ブログをご覧になっている比較的マニアックな方でもご存じない場合が多いのですが、医師以外で器具を使わずに他人の体に触れて治療が行える公的な資格は、あん摩マッサージ指圧師と柔道整復師のみです。病院で見かける理学療法士や看護師等はどうなるのかと言いますと、「医師の指示の下」という条件がついており、独立開業権はありません。これらの資格は全て国家資格であり、専門学校や大学に通った上で国家試験をパスした者だけが名乗る事ができます。
さて、世間一般で最も広く知られている整体師やカイロプラクター等の名称ですが、これらは全て「自称」している肩書であり、老若男女学歴経験問わず誰でも即名乗る事が出来ます。当然ですが、気功師や呪術師、霊媒師の類も国家資格ではございません。
昔から、3年~5年制で費用が高いあん摩マッサージ指圧師や柔道整復師の学校に通えない方向けに、比較的安い値段で整体スクールが受講生を集め、短期間の研修を受けさせた後、スクールが経営している整体院等で受講生を働かせる商売が盛んに行われています。要は資格商法で、国が定めたカリキュラムも存在しないため、品質が極めて悪いと言えるでしょう。
事故に巻き込まれないために
一番確実な手段は、手技を受ける前に国家資格免許を持っているかを確認しましょう。
また、店舗名が、○○整体院、○○カイロプラクティック(カイロ)、○○式マッサージ、もみほぐし、リラクゼーション等の場合は、ほぼ100%無免許だと言えます。子供に行うベビーマッサージも注意が必要です。無免許者が赤ちゃんに施術を行い、その結果、死に至らしめたという悲惨な事件が発生したことは記憶に新しいかと思います。
余談ですが、あん摩マッサージ指圧師の免許を持っていても、あえて施術のメニューに「整体(あるいはカイロプラクティック)」という文字を加えている治療院もございます。実は当院も該当するのですが、「あん摩マッサージ指圧」というフレーズよりも「整体」の方が一般的に知れ渡っているので、言葉として使いやすいからです。開業当初は、あん摩マッサージ指圧というメニューだったのですが、患者さんに「整体はやっていないの?」と多々聞かれるため、併記するに至りました。正式な国家資格である、あん摩マッサージ指圧師よりも、資格でも何でも無い整体師のほうがメジャーになってしまうとは、正直申しまして複雑な心境です。
あん摩マッサージ指圧と整体等の手技の違い
やっている事はほぼ同じです。
あん摩マッサージ指圧の中に、整体、カイロプラクティック、もみほぐし等の手技が含まれていると捉えて頂いて結構です。実際に、あん摩マッサージ指圧の授業でもその様に習いました。そのため、当院の施術メニューに整体の文言が記載されています。なお、柔道整復師が施す柔道整復術については捻挫や骨折等、外傷の手当に特化しているため、この限りではございません。
鴻巣市の注意喚起文
態々下記のような文言が掲載されるということは、それ相応の被害が出ていると思われます。当院に来院された患者さんで、実際に被害にあった方もいらっしゃいます。正しい知識を身に着け、自分の身は自分で守りましょう!
整体など…法的な資格制度のない「手技」による施術・契約トラブルに注意しましょう!
器具を使用しない手技による医業類似行為のうち、「あん摩マッサージ指圧」や「柔道整復」は法的な資格制度のある施術となります。一方で、「整体」「カイロプラクティック」「リラクゼーションマッサージ」等には法的な資格制度はありません。そのため、施術者の技術水準や施術方法・内容にばらつきがあるようです。「施術後に身体の異常を感じた」「症状改善のため、継続的に通える割安な回数券を説明され、その場で高額な契約をしたが、途中で解約し返金してほしい」といった整体院等に関する相談が寄せられています。【事例】
肩こりと腰痛がひどくなってきたため、新聞の折り込みチラシに載っていた「カイロプラクティック」に行った。カウンセリングを受けたところ、「骨盤がかなり歪んでいる。骨盤矯正とインナートレーニングが必要なので、今後、定期的に通ってください。」と言われた。また、回数券を買うとかなりお得だと説明され、通常だと96回で68万円かかるところを回数券の購入により45万円となるコースに申し込んだ。施術を2回受けたが、改善されるどころか腰痛が悪化してきたので解約したい。そして、回数券の未使用分を返金してほしい。
【消費者へのアドバイス】
1、疾病がある方は、施術を受ける前に医師に相談しましょう。疾病がある場合、施術によって症状が悪化する場合があります。
2、事前に施設の情報収集をし、情報を見極めて施術や施術者を慎重に選びましょう。
3、施術を受ける際は、施術者に自分の体調や希望をきちんと伝えましょう。万が一、施術後に身体の異常を感じた場合は、施術を受けた施設に申し出るとともに、なるべく早く医療機関を受診しましょう。
4、 自分で施術を希望し、整体院等に出向いて施術の契約をした場合は、クーリング・オフ制度は適用されません。また、継続的な契約を中途解約する場合の解約金や返金額は、原則として事業者の約款によるものとなります。そのため、「回数券は割安で絶対にお得!」という説明を受けてもすぐには契約をせず、施術内容や解約の条件等をよく確認して慎重に検討しましょう。
困った時には、お近くの消費生活センター等にご相談ください。
消費生活センターへのお電話は、全国共通の電話番号「188番」へお掛けください。